世界で活躍するあの人に学ぶ

有名人の英語ライフ

 
 
 
 
世界を舞台に活躍する有名人に英語との接点や習得方法をインタビュー。
チャレンジを続ける皆さんの熱い思いに触れれば、モチベーションもアップするはず!
ケント・モリさん
Kent Mori as a Dancer
ダンサー
ケント・モリ さん

マイケル・ジャクソンと交わしたNice to meet youは忘れられない言葉です

プロフィール
2006年 単身渡米。
2007年 アメリカにてプロダンサーとして認められ、エージェント契約を果たし、本格的に活動を始める。
2008年 渡米1年半にして、アーティストビザを取得。 その後NBAハーフタイムショーでのパフォーマンス。 マドンナのワールドツアーダンサーに抜擢され世界中を周る。 2009年4月15日 マイケル・ジャクソンによって彼の専属ダンサーに選ばれ、2年契約を交わすもマドンナとの契約中のためそれを断念。その"THIS IS IT"オーディションを最後としてマイケルが亡くなる。その結果、マイケル・ジャクソン自らが最後にセレクトしたダンサーとなる。
2009年7月4日より、マドンナのワールドツアーにて、マイケル・ジャクソン本人に扮して会場を沸かせた。 渡米3年半にして日本人男性ヒップホップダンサーとして史上初めて永住権(グリーンカード)を取得。 またマドンナ、クリス・ブラウン、ザ・ゲームのミュージックビデオ、ステージ、さらにはペプシのコマーシャルにも出演。 そしてマイケル・ジャクソン追悼ワールドツアーで再び世界を周り、ロサンゼルスに帰国。
2010年 チャカ・カーン専属ダンサーを経て、現在クリス ブラウンの専属ダンサーを務める。他にもニーヨやトニー・ブラクストンなどの世界のトップアーティストのダンサーも務めながら、ミュージックビデオにも出演し、日本でも活躍中。 これまで全世界36カ国70以上の主要都市においてパフォーマンスを行う。

楽しくてしょうがなかった

いつから始めたと言って良いのか分からないのですが、自分の部屋のステレオで音楽を聞きながら、勝手にマイクを握る真似をして踊り始めたのは中学の頃からです。その頃はとにかくマイケル・ジャクソン(以下MJ)が自分の中で一番で、彼だけを見ていたので、日本で彼のようなダンスを教えてくれるところがあるとは思えなくて、地元でダンスレッスンを受けようという気にはならなかったですね。

とにかく彼の音楽を聞きながら踊るのが楽しくて仕方なかったんです。その感覚だけで踊っていて、誰かに自分のダンスを見せたいという気持ちもありませんでした。実際にダンスのレッスンを受けるようになったのは、大学に入って東京に住むようになってからです。

小さい頃から英語になじみやすい環境にありました

母親が英会話の先生をやっていたこともあって、英語には小さい頃から親しんでました。それもあって、学生時代は、英語は特に得意科目というわけでもなかったですけど、嫌いではなかったです。母がMJやマドンナが大好きで、幼稚園の送り迎えの車の中でいつも彼らの曲をかけていたので小さな頃から洋楽を聞いてきました。1年に数回、母親の仕事の関係で外国人の先生が自宅に泊まりに来ていて、幼い頃から外国の人と交流していたので、そういう環境も英語に親しむという意味では大きかったと思います。

19歳でLAに旅行

初めて海外で英語に触れたのは、19歳でLAに行った時でした。日本でダンスレッスンを受けて知り合ったアメリカ人のダンサーがいて、そのダンサーが関わっているLAのダンスツアーに参加したんです。彼とは日本でも英語を交えてコミュニケーションを取っていたのですが、実際にアメリカに行って、英語で現地の人とコミュニケーションが取れたときは、喜びが大きかったですね。日本人と日本語で話すのは当たり前だけど、海外の、国籍も見た目も違う人と話ができて、お互いのことをわかり合えるというのはすごく嬉しかったし、英語はコミュニケーションを取るのに必須なんだなと実感しました。

LAから帰ってきて、もっと英語ができるようになってより良いコミュニケーションが取れるようになりたいと思いました。学生時代の勉強である程度、英語の知識は身につけたけれど、実際に会話をする経験は少なかったという人が、日本人には多いと思うんです。僕もそうだったので、もっと会話ができるようになりたいと思ったのですが、それと同時に、日本で本を買って勉強したり、英会話教室に通ったりするというよりも、実際現地に住んで実践的に英語力を養っていくことが、上達するには一番早いんじゃないかとも思いましたね。

英語を使わなければいけないところに身をおくことで上達できる

LAに渡って最初の1年で、日常的な英語を覚えて現地の友達ができて、一緒に遊んだり、出かけたりするようになって、その後事務所と契約して仕事をするようになったので、ステップ・バイ・ステップで少しずつ自然に英語力がついたように思います。僕が大切にしていたのは、とにかく実際に誰かと話してみることです。常に英語を使わなきゃいけないところに自分を置けば、友達も増えるし英語も勉強できて一石二鳥だと思っていたので、現地の友達と過ごす時間をできる限り持つようにしていました。言い方が間違っていたら直してもらったり、言ってることが分からなければ、その都度教えてもらうようにしていましたね。ただ、例えばアメリカで弁護士になりたいという人に必要な英語と、ダンサーになりたい人に必要な英語は違っていますよね。僕に必要だったのは本当に日常で使う会話だったので、自然に覚えていくことができたのかなと思います。

あなたのゾディアック・サインは何?

マドンナのダンサーのオーディションの時、マドンナから「あなたのゾディアック・サイン(星座)は何?」と聞かれたんです。それまでゾディアック・サインという言葉を聞いたことがなくて、「これは誕生日のことを聞いてるんじゃない」ということは分かっていたのですが、それに近いことなんだろうと思って誕生日を答えたんです。マドンナは僕がゾディアック・サインという言葉を知らなかったので、英語がしゃべれないのかと思ったようで、僕に「あなた、英語は話せるの?」と聞いてきました。その当時完璧に英語が話せたわけではなかったですけど、英語がしゃべれないからという理由でオーディションに落ちるのは絶対に嫌だったので「はい、話せます」と答えました。

マドンナは、自分で自分自身を作り上げてマドンナになっている

マドンナは、本当にプロフェッショナルですね。プロフェッショナル過ぎて、自分がコレと思ったものは絶対に譲らないんです。そこは徹底しているし、自分がここまで持って行きたいと思っているところまで、絶対妥協しないですね。普通に考えたら、現在のマドンナという確固たる地位を築いていて、それでもう安泰だから今さら自分を追い込まなくても良いって思うかもしれないけど、そこで彼女は逆にもっと自分を追い込んでるし、他のアーティストと比べても「こんなにリハーサルするの?」というくらい、誰よりもプロフェッショナルであることにこだわっていると思います。

彼女が部屋に入って来たら「うわ、マドンナだ!」と周りに思わせるすごいオーラを持っているんですが、それを作り出しているのは彼女自身なんです。彼女は自分で自分自身を作り上げてマドンナになっているんだと感じました。例えば朝起きてすぐにあれだけのオーラが出ているわけではなくて、自分でそれを作り出して人に提供している。人が思うマドンナ像も見越した上で徹底してセルフプロデュースしているんだと思います。彼女はもちろん美貌も持っているし天才でもあるけれど、それも含めて常に努力して自分をプロデュースしていると感じました。

世界を回って実感した、英語の必要性

実際ツアーに参加してみて、もし自分が英語ができなかったらすごく困っただろうなと思いました。英語が話せないとアメリカでは仕事はしていけないですから、当たり前に相手が何を言っているか分かるレベルはなければいけないですよね。今の世界共通言語は英語だし、36カ国回りましたけど、どこの国に行っても会話は英語でしたから、もし自分が英語が話せなかったらその国の人とコミュニケーションをとることもできなかったと思います。

もちろんツアーのメンバーにもアメリカ人以外の人がいましたけど、その人たちとも英語で話していたので、今は英語なくして世界中の人と繋がってくことはできないですよね。僕がダンサーという職業をやっていく上でも、英語は必須です。マドンナのツアーで世界を回る経験をしなかったら、英語がこんなに大事だとは気がつかなかったかもしれないですね。

ツアーを一緒に回ったメンバーは同志

マドンナのツアーメンバーはライバルであり、同志でもあります。マドンナが選んだダンサーはみんな個性的で、国籍も違えばダンススタイルもみんな違っていたんです。だからこそお互い認め合えるし、今でも良い付き合いを続けているんです。みんな何かを持って集まってきてるし、良い意味で影響し合いながら同じ時間を過ごしてきたので、同じ学校を卒業したような感覚があります。

ダンサー同志は、話をしなくても踊っているところを見ればその人がどんな人かが分かるので、僕が踊れば「この人はこういう人なんだ」と知ってもらうことができます。ただ、 踊った後に話をすれば、もっとお互いを深く知ることができるんです。僕が英語を話せたことによって、メンバーとより一層仲良くなれたと思います。

MJは、スーパースターになるべくして生まれてきた存在

MJは、エンターテイメントに関して「100%の天才」だと思います。5~6歳の頃のジャクソン・ファイブの彼を見ても分かる通り、もちろん努力もあるけれど、持って生まれてきちゃったというか、本当に天才なんだと思います。

マドンナはスーパースターでありつつも現実味があるというか、普通の人間としての面もすごく持っているからこそ、自分自身でマドンナというものを作り上げているんだなというのが、僕の目からも見えるんです。でもMJは、言ってみれば生まれた瞬間から才能を見出されちゃって、右も左も分からないうちから音楽だけをやって、普通の人みたいに学校に通ったりすることもなく、死ぬまでそれだけをやった人ですよね。そして、誰も見たことも聞いたこともない映像とサウンドを作り出していったからこそ、すべての人に影響を与えていった。彼はスーパースターになるべくしてこの世に生まれてきたんだ思います。

ダンサーとしてのMJ

彼がもし曲を作ることもなく歌うこともなく、ダンスだけをやっていたとしても、それでも僕は世界一だと思います。彼はどこにも不純物がない、純度100%の感情表現をしているんです。音楽の中にある魂、音楽が言わんとしていることをすべて表現している。それをあそこまで美しくやって見せる人を他に見たことがないし、だからこそ彼のダンスにみんなが心を動かされるんだと思います。もちろん彼のダンスのスキルは圧倒的だけど、根本にあるのは、ダイヤモンドのようにピュアに輝いている彼の感情表現の素晴らしさだと思います。

『This is it』を見ていて、たとえ彼が昔のようにターンができなくなっていたり、身体のキレがなくなっていたとしても、人が感動してMJのダンスに見入ってしまうのは、それが理由なのではないでしょうか。技術だけでやってきた人は、その技術がなくなったら人の心を動かせなくなるけど、MJに関しては、どうしてか分からないけど、彼のダンスを見ていると思わずのめり込んで見てしまう。それは彼が感情で人と会話をしているから、人の心が動かされるということだと思います。

忘れられない、MJとの会話

MJのThis is itツアーのオーディションに合格して、メンバーに選ばれた時、初めてMJに「Nice to meet you.」と挨拶をして、彼も「Nice to meet you, too.」と答えてくれた。本当にひとことですけど、自分にとっては死ぬまで忘れられない言葉です。

例えばMJのコンサートを見に行って「マイケル~!」って声をかけるのではなくて、彼が僕の存在をちゃんと知って、僕が彼に自己紹介するという。僕の人生でそれをすることができたチャンスは、あの一回だけだったと思うんです。そのチャンスを掴むことができた瞬間だったので、ただの「初めまして」なんですが、「僕はこの世の中に生きてたんだよ。あなたがここまで僕を引っ張ってくれたんだよ。すべて理由があってここに来たんだよ。本当に初めまして」と、自分を紹介することができて、握手をすることによって彼が僕と繋がった瞬間は、本当に自分の人生にとって大きかったです。

悲しい出来事があっても、いつかその意味が分かる時が来る

MJが突然亡くなって、その後すぐにマドンナのツアーが始まりました。MJの追悼として、マドンナのステージで僕がMJを踊ることが決まった瞬間に「ああ、本当にそういうことって起きるんだな」って思いました。それまで誰もマイケルが亡くなるなんて思っていなかったし、マイケルのThis is itツアーも行われると思っていた。でもマイケルが亡くなって、マイケルがコンサートをやるはずだった場所で、僕がマイケルとして踊ることになった。

MJのツアーメンバーに選ばれたにかかわらず、マドンナとの契約の問題でMJのツアーはあきらめなければならなくなった時に、僕の祖父が言ってくれた、「ものすごく悲しいと思う出来事があっても、いつかその意味が分かる時が来る」という言葉を思い出しました。

答えはすべて自分の中にある

夢をかなえるためには、自分を信じること。自分を信じて、思うままに突き進んでいくことが大事だと思います。僕は周りから何か言われても、それが僕にとって必要だと思ったらやるし、必要ないと思ったら人からどんなに勧められてもやらない。答えはすべて自分の中にあると思います。

僕は自分の夢に対してまっすぐに進んできた。やりたいことをやっていたら、気づいたらプロになっていて、マドンナのツアーに選ばれて、マイケルにも会った。結果は後からついてきたという感覚です。

ダンスを通して人と繋がっていきたい

MJが亡くなる前は、こういう取材の時に「これからやってみたいことは?」と聞かれたら「MJと仕事がしたいです」と答えていたんですけど、彼が亡くなってからはまた違う道が開けたと思っています。僕はダンスを通して人とつながりたいし、ポジティブなものというか、良いエネルギーを分かち合っていけたらと思っています。良いエネルギーが何かのメッセージになることもあるだろうし、ダンスを通して世界中の人と触れ合っていきたいと思います。

ダンスを通して可能性を見出せるものであれば、何でもチャレンジしていきたいと思っているし、今はクリス・ブラウンのツアーのリハーサルをしているんですけど、アーティストと一緒にやっていく活動もしていきたいし、僕自身もダンスで人の心を動かすものをやっていきたいですね。

結局は人とのコミュニケーションだと思うんです。テレビを通してなら、僕がまだ出会っていない人ともつながることができるし、実際に目の前で踊ることでできるつながりもある。ダンスでつながっていけることが魅力だし、そこで何か良いものを共有したいと思います。MJがやってきたことってそういうことで、彼は自分の音楽を使って世界中の人とつながっていった。僕はダンスでそれをやっていきたいと思います。

※掲載日:2010年12月9日

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